大判例

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東京高等裁判所 昭和39年(ネ)200号 判決

金銭債権についての強制執行の配当手続において、配当裁判所は配当表に関する陳述および配当実施のため期日を指定し、その期日には各債権者および債務者を呼び出すべきものとされているのであるが(民訴法第六二九条第一項)、右期日に陳述された債務者の意見は、不動産執行における配当手続においてその複雑性に鑑み債務者の利益を保護するために認められた異議権(同法第六九八条)と異り、それ自体として配当の実施に関し拘束的効果を有するものではないけれども右の意見が各債権者に反映し、その結果としてある債権者より異議の申立がなされた場合には、相手方債権者の配当受領権の有無およびその範囲について間接的に債務者の意見を具現し、これに従つて配当表の更正を求める結果となるから、その意味で配当手続において債務者は債権者の権利の消長に影響を及ぼし、かつ利害の対立する地位にあるものということができるわけである。したがつてかかる関係にある債権者と債務者の双方の代理人を同一人が兼ねるようなことは、配当手続上においてもいわば異常の現象というを妨げないのであるから、記録上一見してかかる事情を認知しうる本件において、代理権の存否および適否について職権調査の義務を負う裁判所としては、当然被控訴人本人あるいはその代理人を直接審問する等適当な方法をもつてこの点の調査をなすべきであつたといわねばならない。そうしてもし本件において担当裁判官がかかる措置をとつていたならば、被控訴人主張の委任状が偽造のものであつて真実授権のなかつたことをたやすく発見しえたことは推測に難くないから右偽造委任状の存在を看過したのは結局担当裁判官がその職務を行うにあたつて尽すべき注意義務を怠つたことによるものと認めざるをえない。

(三渕 伊藤 土井)

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